反社会的消費者と日本社会の特徴について(2015年01月28日)


「モンスタークレーマー」の存在は以前から指摘されておりましたが、最近はより悪質化しているようで、この記事ではさらに一歩踏み込んだ表現で、「反社会」化していると述べられています。

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO81919230U5A110C1000000/
コンビニでの土下座強要事件や虚偽の異物混入で青年が逮捕された事件は記憶に新しいですが、最近は罪に問われることをためらわない自暴自棄な反社会的消費者タイプのものが目立ってきており、鉄道での駅員への暴行も増加(14%)しています。

また、この記事の後半部では最近増えている新手のクレーマーとして60代以上の男性による長電話が指摘されており(*)、元管理職の男性が商品の製造工程の見直しや今後の再発防止策について延々と問いつめたあげく「報告書」の提出を要求するなど、現役時代の地位と引退後の時間的余裕を笠に着た悪質な事例が挙げられています。

電話によるクレーム対応は従業員が気を病んでしまう場合が多く、この記事では近年急増している会社員の気分性障害(1999年に比べ2倍に増加)の原因の一つはクレーマーの悪質化であると指摘されており、これらの行為に支払われる社会的コストは決して安くはありません。

元来、日本は生産者よりも消費者優位の社会であることは何度も指摘されています。それは環境省や消費者庁の設立など消費者や住民の側の権利を守る取り組みが成功してきた一方で、長時間労働の防止や同一労働同一賃金原則など、労働者側の環境改善が進まない日本の政治状況などをみると明らかです。

欲求不満のはけ口を、言い返せない弱い立場の人々にぶつける一方で、自身は弱者ないし不当に虐げられた被害者であり自分のやっていることは「義挙」であると信じているクレーマーの精神性は、近年のホームレスへの暴力や生活保護へのいわれなき偏見を強化する言説と通底しています。

そして、こういったタイプの暴力をどう抑制すべきかについては記事では電話応対からメール応対への切り替えなどが挙げられていますが、私としてはやはり、彼らには市政や自治活動などの、意思決定に参加できる一方で言動に責任が伴う場に参加してもらい、己の立ち振る舞いを振り返りつつそのエネルギーを意味のある活動に注いでもらえるような、そういった環境をつくることなのではないかなと思います。

なお、反社会的クレーム行為と法律の対応は以下の通りです。

土下座の強要:強要罪
居座り:不退去罪
お金の要求:恐喝未遂罪
大声を出す:威力業務妨害
異物混入と嘘をつく:偽計業務妨害罪

*コールセンターへのクレーム全般における割合も60代以上が最も多いことが指摘されています。