ペットの大量遺棄事件について(2015年02月12日)


最近山林でのペットの大量遺棄の報道が目立ってきています。
埼玉の近郊でいえば、元ペットショップの店員が栃木県の鬼怒川河川敷に40頭の犬の亡骸を遺棄して逮捕された事件がありましたが、同様の事件は群馬、山梨、埼玉、佐賀でも発生しています。

http://news.livedoor.com/article/detail/9496507/

ペット業者からの犬の引き取りを自治体が拒否できる改正動物愛護法が施行されたのは昨年2014年のことです。帳簿の登録や健康安全計画の作成を義務化するというそれ自体決して悪い法律ではないものの、繁殖工場で子犬を大量に生ませオークションで販売するという大量生産モデルから業界と飼い主側が抜けきれていません。

現在、ペットショップで売られている犬の多くは個人経営のブリーダーではなく繁殖工場という金網に閉じ込めた母犬を死ぬまで糞尿を出しっ放しの劣悪な環境で子犬を生ませ続ける施設の中で「生産」されています。そして、競りにかけられてペットショップに届いたのちも、一般的に市場での取引価格は成犬よりも子犬の方が高いので、同じショウケースのスペースを占めさせるのであれば売れ残った犬を処分して新しく仕入れた子犬を据えた方がいいということになってしまうため、次から次へと処分されてしまうのです。

http://synodos.jp/society/12723

もっとも、この問題を調査研究している朝日新聞メディアラボの太田氏曰く、自治体での殺処分自体は順調に減少しているとのことで(太田氏が取材を始めた頃は8万頭ほど、2012年は39359頭。過去には20~30万頭処分されていた時代もあり)、恐らく業者によって不法に遺棄されている頭数を含めても減少しているとは思うのですが、ペットを飼う側にも規制を敷き義務が課せられるドイツのような先進国の水準にはまだ至っていません。

そして、今すぐ業者や消費者に対して全面的に業態や意識の改革を求めることは難しいものの、行政とメディアという2つのファクターのそれぞれに対して、太田氏は以下の提案をしています。

【行政】
→「嫌われる行政」になることを覚悟して業者と飼い主に圧力をかけること
→指標は返還率と譲渡率
→譲渡に関しては、譲り渡しを個々人に限定せず動物愛護団体などへの団体譲渡を認めること
→業者の監視や指導はアポをとらずに抜き打ちで行なうこと
→定時定点回収はやめましょう(いわゆるゴミ回収と同じシステムで動物を引き取ること。茨城ではすでに取りやめ、殺処分件数を減らしている)
→熊本県は安易に引き取りを求めてきた市民に対して説得を行なっている
→愛媛県は殺処分の現場を飼い主にみせるツアーを行なっている

【メディア】
→動物やペットの「かわいさ」を前面に押し出した番組づくりは自重すべきではないか?
→共に生き、共に老い、死ぬまで面倒を見るという命を扱うことの本質から目を背けさせている
→「動物は視聴率がとれる」という安易な考え方を止める
→殺処分をなくすことについての啓蒙をする